横山春光の中国留学記
┏ 八卦掌への道 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆★

−狂気的トップページ製作秘話−

2008年8月8月、そうあの北京オリンピックが開幕した頃です・・・



私は、もう何日も自宅に閉じ篭って“のたうちまわって”いました。

『日本中国伝統功夫研究会』のウェブサイトのトップページがどうしても決まらないのです。

サイト製作を開始してから、既に半年以上が経っていました。途中、デザインを諦めて資料の翻訳をしたり、武術の歴史の勉強をしたりして、トップページのアイデアが浮かんでくるのを待っていたのですが、待てど暮らせど、まったく浮かんでこないので、もう腹を決めて缶詰状態になったのです。

私はデザインの勉強を専門的にしたことがありません。以前ウェブ・デザイナーの仕事をしていましたが、就業時間内に終わらせることができないので、家に持ち帰って徹夜で仕上げていたことが殆どでした。

・・・

『日本中国伝統功夫研究会』公式サイト・トップページ

試行錯誤すること、数十枚、いつも知人のカメラマンさんにチェックして貰っていたのですが、毎回ダメ出しをされていました。

最初は数枚ほど、麻林城老師のご意向であった『伝統色』を全面に出したデザインで作ってみたのですが、敷居が高すぎる雰囲気になってしまい、とても会を背負っていく自信が湧いて来ず、途中で製作を断念しました。

しかし、ラフなデザインにすると、もの凄く信憑性に欠けてしまいます。

また、個人色を出すと、オフィシャル感が無くなってしまう。

ほぼ、この3パターンの繰り返しで無限ループにはまり、中途半端なデザインを上げては、ダメ出しをされていました。

苦しかった私は、毎回ゴタゴタと言い訳をするのですが、言い訳をすると「じゃぁ、これでいいんじゃん?」と言われて、余計に落ち込むので、途中から、ダメ出しをされたら黙ってもう一度一から作り直す・・・、という作業を続けていました。

そして、最終デザインから数えて二番目のデザインが出来上がりました。

カメラマンさんにメール添付でチェックして貰うと、「うん、今までで一番いいんじゃない!」と、とりあえず好感触を示してくれ、私自身(これが自分の能力の限界だ・・・)と感じたので、数十時間稼動しっぱなしだったパソコンの電源をオフすると、ベッドに横になりました。

・・・

(なんか・・・)

(いや、考えるのはよそう)

・・・

(でも)

・・・

(やめて、やめるのだ、自分よ!もうこれ以上追求しようとするのは止めるのだ!)

・・・

(でも・・・)

「わー!!」

なんと私は、再びパソコンを起動すると、数十時間かけてピクセル単位まで微調整して、手打ちでHTML化したトップページを、元データごと全て削除してしまったのです。

・・・

たぶん、何かが気に入らなかったのです。

(ふふふっ、死んだ、大量の脳細胞が・・・)

何かが「プツリ」と切れた私は、観る人の視点、麻林城老師の視点、私の方向性、もう全て数百回と考慮して製作した過去のデザインまで、一つ残らず(ふふふふっ)と不気味な笑い声を上げながら、全て削除していったのです。

妥協できない自分を呪いました。

呪いながら笑いました。自分に無い能力を無理やり捻り出そうとする行為を嘲笑いました。

そして、動物園の中のノイローゼ・ライオンよろしく、再びベッドの上に撃沈しました。



(も〜ダメだ、気に入らないデザインを使うのもイヤだ、かといって気に入ったデザインを作り出す能力もない、トップページが出来上がらないと、麻林城老師に何故まだ中国に残っているのかいい訳ができない、でもデータはこの手で全部削除してしまった、デザイン脳細胞もほぼ死滅してしまった、絶体絶命だ!)

・・・

(ああ〜、神さま〜、神さま〜、助けてくださいー!)

(光を〜、光をくださいー!) by ゲーテ


次の瞬間、私は神の存在を知ったのです。

何かが閃いた私は、エンプティーになっていたハズの精神力を無視し、パソコン内の数枚の画像を選択すると、突然サクサクと作業を始め、その日恐ろしいほどの気合いで徹夜をし、現在の『日本中国伝統功夫研究会』のトップページを作り上げました。

翌朝、知人のカメラマンさんにメールでトップページを送ってチェックしてもらうと、

「君は、狂人か!?あそこまで苦労して作ったトップページを削除して、また新しいのを作るなんて、どうかしてるよ。でも、うん、これだね。正直昨日のデザインはありきたりだった、これはオリジナリティがあって良いよ!」

「そりゃ、どうも、ありがとう」

と答えた私は、そのまま電話を切って昏睡しました。

使ってはいけない予備タンクのエネルギーを全て使い切ってしまった私は、数日間、怖くて完成したトップページが観れませんでした。

そして数日後、パソコンを立ち上げて、もう一度トップページを観た時、それ以前のデザインに感じていた違和感がまったく無かったので、魂の核心まで解放された私は、「神さま、本当にありがとうございます!」と言って、部屋の中で怪しげな舞を踊って、何度も何度も感謝の言葉を上げました。

私の能力の限界に、ちょっとだけ手助けをしてくれたような気がしたからです。

私は命あるものが身も心も全て投げ出して、一心に何かを願ったとき、必ず何かの大きな流れに繋がると信じています。

ウェブサイトの顔は、当たり前ですがトップページです。トップページが完成したら、あとはデータを流し込んでいけばいいだけです。もう心は数ヶ月間の鉛が溶解したかの如く軽やかでした〜♪

数日後、カメラマンさんが時間ができたというので、依頼していた陳家溝日帰りツアーに連れて行って貰いました。

気がつけば、もう9月になっていました。陳家溝の村は、秋の収穫で黄金色に染まっていました。


太極拳の発祥の地・陳家溝の村を歩いていると、中国留学当初の頃の自分を思い出し、(本当に長かった、充実していた、なんてたくさんのものに私は出会えたんだろう)と色々な思いが浮かんできて、心が「す〜っと」深まっていくような気がしました。


河南省、遥か昔、陳一族が創始した、太極拳・・・

行動力しかなく、計画性のない私ですが、それは生まれつきなのです、仕方がないのです、太極拳は私のすべてを包み込んでくれました。

ときには泣いたり、苦しんだり、迷ったり、落ち込んだりもしましたが、何度でも立ち上がってチャンレンジをする元気を出させてくれる太極拳。そんな『太極』という世界を、私は発見することができたのです。

つづく


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